働きながら受け取る年金
一定の年齢に達すると、受け取り条件が整うなら、仕事をしていても老齢基礎年金を受け取ることができます。この年金の受け取り開始年齢は、通常65歳ですが、それを60歳に繰り上げて受け取ることも可能なのです。
もちろん60歳から受け取り開始にすると、65歳で受け取る金額よりも《1回当たりの受取額》は少なくなります。たとえば、60歳から受け取ることにした場合、65歳から受け取る予定だった年金額の約76%しかもらえません。仮に65歳から月額6万円(年間72万円)受け取る予定だった人の場合、60歳から受け取りを開始請求をすると、月額43,200円(年間518,400円)に減額されます。
しかも、その減額された年金額が65歳以降も生涯固定されるのです。
それなのに《繰り上げ受給》のどこが良いのでしょうか。
65歳以前に使えるお金が大事?
ある事業主の奥様は
『年金はできるだけ早くから欲しい。たとえば旅行をするにしても、65歳を過ぎてからとその前とでは、行ける先も楽しみ方も違うように思う。多少金額は下がっても、早くもらって早く楽しみたい』
と言われます。別の事業主の方も、
『60歳を迎えて、盆栽の本当の良さが分かって来た。ちょっと盆栽に《入れ込みたい》』
として、老齢基礎年金の《繰り上げ受給》を始められました。
お金は金額だけではなく、《受け取るタイミング》が重要だという考え方にも一理あると思います。
従業員の皆様は?
ただし従業員の皆様は、事業主感覚とは異なり『できるだけ長く働いて賃金収入を確保し、老齢年金は65歳、あるいはそれ以降から受け取りたい』という方が多いようです。当然かも知れません。
ちょっと余談ですが、そんな従業員の皆様の期待を念頭に置きながら、一部公的給付金も活用した《高齢者雇用》制度もお勧めです。50歳代後半の従業員がおられる企業では、ぜひご検討ください。